♯142 箱根塔ノ沢 元湯 環翆楼 No.3 夕飯はお部屋でいただきます。
温泉宿での食事の場所には特にこだわりを持っていません。
お部屋でゆっくり...と言うと、聞こえはいいですが、なんとなく居心地悪く感じることもあるのは私だけでしょうか。
見えない客に対して料理を早過ぎずに、そして遅過ぎずに上手く出して行くことは本当に大変なことだと思います。
ましてや私達夫婦は、旦那さんは下戸、私は飲兵衛。
お互いのペースを上手にコントロールしていくのは、自分としても気を使うところです。
ですが、こんな事も言ってられないこのご時世。
なるたけ他人との接触を避けることの出来る部屋食は、宿の選択に大きな影響があることでしょう。
今回はそんな部屋食をありがたく感じながらの食事となりました。
先付、前菜、お造り等々がやってきました。
大好きな胡麻豆腐の登場でとても嬉しいのですが、ワサビが直接乗っているのではなく、餡に風味付けられてあり、ほのかに感じるワサビ感と、ほんの数本の三つ葉が彩りだけでなく良いアクセントとなっていました。
イクラ、エビも添えられ綺麗でした。
美味しいマグロというのは、一切れだけでも満足できます。
お一人さま鍋では金目鯛と地鶏の美味しさが際立っていました。
鶏肉が小さなころから大好きな私は、火の通し方さえ間違わなければ、大抵美味しいと感じてしまうのですが、なぜでしょう、今回は特に美味しく思えました。
天ぷらはワカサギ、行者ニンニク、パプリカの3種。
行者ニンニクは、普段自分で買って食べることはありませんが、ふんわりと口の中で広がる独特の香りはたまらないですね。
考えてみると、スーパーでは見かけません。
ん?売っていることに気が付かないだけかな?
そして、ワカサギ。
こちらは自宅でお留守番中のカエル君たちの主食でもあったりします。
業務スーパーで売っている冷凍のワカサギを解凍して食べているのですが、普段から解凍されたあの臭いを知っている私達はどうしても...苦手になりつつある最近ではありますが、今回は頑張りました。
ご飯のお供だったかは不明ですが、最後に一口ステーキが出てまいりました。
お新香でも十分ですが、ノンアル男子にはやはり嬉しいご飯のお供ですね。
とっても満腹でしたので、最後はフルーツで助かりました。
甘平というミカンでしたが、初めて食べました。
皮がとっても薄いようです。
糖度もたっぷりあるのですが酸味も強く、まさに甘酸っぱい!!
お口の中がさっぱりしました。
全て美味しくいただきました。
ご馳走様でした。
夕食後には、現在は使われていない大広間を見学しました。
自由に出入りできるのですが、今ではなかなかお目にかかることのなくなった物が展示されていました。
大広間の舞台
迫力ある襖の絵に驚きます。
電話?
ダイヤルがありませんね。
磁石式電話機という物があったということは聞いたことがあるのですが、使い方は全くの謎です。
ゆっくり見学させていただきました。
夜の宿の姿もまた素敵。
窓枠が可愛いです。
建てられてから100年も経ってから、まさか「可愛い」なんて言われるとは想像もしなかったでしょうね。
飲兵衛の朝は早い。
もちろん普段は早くありません。
日の出前に露天風呂へ向かいます。
少し明るくなってきました。
この時間は本当に贅沢に思えます。
このときばかりは、前向きな事しか思い浮かびません。
鳥の声が聞こえるだけで幸せな気分になります。
朝も元気にお風呂のはしごです。
前日は別の内風呂でしたが、明るかったのが印象的でした。
薄暗く湯気のこもった空間は、静かでお湯の流れる音しか聞こえません。
まるで異空間です。
タイルって可愛いですね。
大正時代に輸入されたというタイルを使い作られたこのお風呂は、当時では相当珍しい物だったに違いありません。
宿としては慶長19(1614)年に湯治場として開湯したと伺いました。
伊藤博文から贈られた詩から現在の環翆楼と呼ばれるようになったそうです。
驚くほどの歴史ある宿に「すごく古いぞ!!」
と、言った旦那さま。
おこられますぞww
朝食はシンプルで丁度良い量でした。
ご飯は2膳。
丁度良いと言いながら、普段はこんなに食べないですよ。
旅の朝マジックです。
裏口から振り返り一枚。
大変お世話になりました。
出会えて本当に良かったです。
おしまい。